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2024/04/25
地域に愛される観光農園へ【ネットワーク東海4月4週号】
「地域の方々に愛される農園にしたい」と話す冨田高平(とみたこうへい)さん(41)は、伊賀市で「かおり野」や「よつぼし」などのイチゴを83㌃で栽培する。
元々、四日市市でサラリーマンとして働いていたが、農業に魅力を感じ、農業大学校でイチゴの栽培について学び、就農した。
かおり野は三重県の育成品種で、炭疽(たんそ)病に抵抗性を持つ。酸味が少なく、爽やかな甘さが特徴で、子供から大人まで幅広い年齢層に支持される。
また、三重県、香川県、千葉県、農研機構九州沖縄農業研究センターが共同で開発し、2017年に品種登録されたよつぼしも人気だ。かおり野と同じような甘さがあり、デザートとの相性が良いという。
糖度については、栽培環境が重要だという。冨田さんは低温完熟を重視し、伊賀盆地の厳しい寒さをうまく利用。低温でじっくりと時間をかけて熟成させる。この環境によってたくさんの養分を蓄え、おいしい果実が実るという。そのため、ハウス内の温度管理だけでなく、湿度も調整しており、自動開閉ができるよう設備環境を整えている。
苗の生育にも工夫しており、カタツムリポットという器具を使い、一つのポットで複数の苗を管理している。通常のポットよりも水はけが良く、根巻きしにくいため、作業効率が上がったという。
「販路も少しずつ広がり県外や海外にも出荷できるようになったが、地域の人たちにも親しみを持ってもらえる農園になるようにしていきたい」と話す冨田さん。交流サイト(SNS)などで、さまざまな情報を発信し、観光農園も開園。地元の人たちがいつでもおいしいイチゴを食べられるように今後も規模拡大を予定している。
「周りのイチゴ農家さんたちと協力しながら、よりおいしい果実を届けられるように試行を重ねながら頑張っていきたい」と力強く話す。