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2024/08/22
衛生管理を徹底/菌床製造・キノコ栽培/異業種からの挑戦【ネットワーク東海8月4週号】
大紀町で創業90年となる建設会社「株式会社谷口組」の谷口直也〈たにぐちなおや〉社長(52)は、2021年に「奥伊勢菌床センター(株式会社楽)」を設立した。
菌床の製造をはじめ、シイタケ7品種、キクラゲ、エリンギ、ナメコ、ヒラタケ、タモギタケなどの栽培も手がける。
施設は1999年に旧紀勢町が「紀勢町菌床センター」として設立。町が運営を撤退後、土地の持ち主だった谷口社長が引き継ぎ、培養施設と作業施設を改修し、2021年に本格的に稼働した。
奥伊勢菌床センターでは、主に同センターが菌種を購入しているメーカーから製造依頼を受け、菌床を製造し、キノコ農家に納品している。トレーサビリティーを重視し、菌床の品質確認のためにも、必ず栽培まで手がけているという。
菌床製造は、長年にわたり培った経験のある牧野泰伺〈まきのやすし〉センター長(58)と、女性5人・男性1人の従業員6人が、種菌メーカーの指導のもと行っている。
「菌床製造は衛生管理面が非常に大切。従業員の意識の高さには脱帽する。機械の掃除も急所を外さずやってくれるのでとても安心」と谷口社長。
22年には夏休みの自由研究になればと、大紀町の小中学生、教員にキクラゲの栽培キット「おうちできのこを育てよう」700個を無償配布し、地域の食育にも貢献している。
また、小学生の工場見学・収穫体験を実施。牧野センター長は、「キノコが食べられなかった子供から“自分で収穫したら食べられるようになった”と手紙をもらい、うれしい気持ちになった」と話す。
菌床とキノコは敷地内の自動販売機で販売するほか、「道の駅奥伊勢おおだい」「山海の郷紀勢 松田商店」での販売、地域のイベントへの出店、ふるさと納税の返礼品、交流サイト(SNS)での直販も行っている。
谷口社長は「今後も大紀町の『奥伊勢の菌床きのこ』を広めていきたい。地域活性化のためにも栽培を広げ、地元雇用を進めていきたい」と笑顔で話す。