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2024/03/29
珍しい野菜200品種作付け/カッコイイ農業に【ネットワーク東海3月4週号 トップ】
亀山市関町にある「株式会社ミカタアグリ」の三方美智代(みかたみちよ)代表取締役(42)は「姫あやめ雪かぶ」「スカーレットフリル」「ミニマムビーツ」など珍しい野菜を約200品種栽培する。ミシュランガイドに掲載される有名レストランなどとの取引も多い。「こんな野菜できるの」と尋ねられると、畑の隅でまずは挑戦。消費者の声をすぐに取り入れる経営スタイルだ。
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亀山市で生まれ育ち、高校卒業後、実家の園芸店や地元の植物園で働いていた三方代表。生まれた時からいつも花や植物に囲まれていた。実家の園芸店では野菜の種も販売していたため、来店者から「この野菜はどうやって作るの」と聞かれることも多かった。そんな中、自分で作ってみないとしっかり説明ができないと思ったのが就農したきっかけという。
2020年に農業法人・株式会社ミカタアグリを設立。7㌃ほどの農地で就農したが、どんどん種類が増えていき、現在は1㌶以上になっている。土壌分析を何社かに依頼してデータを収集し、平均化する。ただ「データはあくまでもデータ。私の農場は私が全て見ているので、この子たち(野菜)が今欲しいもの、要らないものを判断するのは親である私の責任」と三方代表は話す。
獣害対策では優しさがうかがえる。「シカも必死に生きていて生存本能は人間も同じ。シカには、鉄分と塩分が含まれる線路を舐めに行く習性がある。通り道だった所で野菜に気付いたら食べるよね」と三方代表。シカの食害に遭いにくい西洋野菜は露地で、砂ぼこりが付きにくいよう葉物はビニールハウス内で栽培するなど作付け場所を選ぶ。
消費者の生活シーンを思い浮かべながら野菜を作っているという三方代表。
例えば、忙しい主婦が仕事を終えて〝切らずにササっと水洗い〟するだけで食べられる野菜を作ったら時間短縮になるかなど、消費者目線になるだけでアイデアが無限に湧き出すという。
農業の魅力は、ただ単に食料生産だけではないとも考える。出会いや会話のきっかけをつくる瞬間も提供する職業だと捉えている三方代表。「単なる生活の糧でなく、カッコイイ職人としてのイメージ革命を起こしていきたい。今後も自然体で、関係する方々と共に良い仕事をしたい」と話す。